Mech-Visionの更新説明
Mech-Vision 2.1.1バージョンの更新説明
以下では、Mech-Vision 2.1.1バージョンの新機能や機能最適化、問題修復について説明します。
新機能
新しい「ドリフト自動補正」機能
Mech-Vision 2.1.1バージョンでは、精度誤差分析ツールに ドリフト自動補正 機能を追加しました。この機能を導入することで、ドリフトを自動的に補正でき、ビジョンシステムの安定性を向上させるとともに、後期の保守コストを削減できます。
機能最適化
キャリブレーションツールについて
Mech-Vision 2.1.1バージョンでは、「キャリブレーション結果保存」機能を最適化しました。保存後のキャリブレーションパラメータグループは、現在のプロジェクトまたはソリューション内のすべてのプロジェクトに自動適用できるようになりました。
ワークライブラリについて
Mech-Vision 2.1.1バージョンでは、ワークライブラリ を以下のように最適化しました。
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「ドリフト自動補正」機能への対応
ワークライブラリの「ティーチング方法による把持位置姿勢を設定」手順に、「ドリフト自動補正」機能を追加しました。過去バージョンですでにこの機能を導入しており、ティーチング法で把持位置姿勢を設定していた場合、新バージョンにアップグレードした後、ドリフト自動補正データ(EIH/ETH)の追加取得が必要です。これにより、ビジョンシステムのドリフト補正値をもとに「逆補正」を行い、ティーチング法で追加した把持位置姿勢が引き続き正確に使用できるようになります。
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「STLファイルをインポート」フロー
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点群生成方式として、「指定された視点から生成」または「全体サーフェスから生成」を選択できるようになりました。
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「把持位置姿勢ティーチング」フロー
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複数の把持位置姿勢をティーチング法で追加可能になりました。
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「把持位置姿勢を設定」手順が追加され、ティーチング法による把持位置姿勢の調整が可能になりました。
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「前処理後の点群をインポート」フロー
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新規ワーク作成時に、把持位置姿勢の設定方法として、「プロジェクトのステップから取得」、「手動設定」、「ロボットティーチング」を選択できるようになりました。ワーク設定フローは、把持位置姿勢の設定方法によって異なります。
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インポートしたプロジェクト情報は、ワーク保存およびワークライブラリを閉じる際に保存され、消去されなくなりました。
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「点群モデルを作成せずに設定」フロー
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設定フローの名前を「マッチングなしで認識」から「点群モデルを作成せずに設定」に変更しました。
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この設定フローは、他のフローと同時に使用可能になり、同一ソリューション内で複数のワークをこのフローで作成できるようになりました。
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ワークが水平な円柱体である場合、把持位置姿勢をワーク表面に調整しても、ワークの中心点は変わりません。
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可視化エリアには、ワークの中心点および、ワーク中心点に対する把持位置姿勢のオフセットが表示されます。可視化設定では、把持位置姿勢およびワーク中心点の表示・非表示を切り替えることはできません。
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その他
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「モデルを編集」手順で、点群法線ベクトルを反転して生成できるようになりました。
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「把持位置姿勢を設定」手順で、把持位置姿勢の配列をビジョン結果に含めるかどうかを選択可能になりました。「点群モデルを作成せずに設定」フローでは、この機能はサポートされていません。
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「把持位置姿勢を設定」手順で、把持効果プレビューする際、可視化エリアに表示されるロボットハンドは有効化されたロボットハンドの中で最初のものとなります(ロボットハンドリストの一番上ではありません)。
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「ティーチングによる把持位置姿勢設定」手順で入力したTCPおよび把持位置姿勢でのロボットフランジ位置姿勢は、ワークを保存してライブラリを閉じた後も保持されます。ただし、把持位置姿勢でのロボットフランジ位置姿勢が複数入力されている場合、最後に入力したもののみが保存されます。
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すべてのワーク設定フローにおいて、対象物中心点と把持位置姿勢は互いに影響しないようになりました。つまり、いずれかを調整してももう一方は変化しません。
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可視化表示エリアに 測定機能 が追加されました。
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ワーク保存失敗時のエラーメッセージが、より分かりやすい内容に改善されました。
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「ロボット通信設定」でロボット型番を選択した後、ワークライブラリで位置姿勢を入力する際、ロボット型番に応じたオイラー角タイプが自動で切り替わるようになりました。
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「カメラから画像を取得」ステップについて
Mech-Vision 2.1.1バージョンでは、「カメラから画像を取得」ステップを以下のように最適化しました。
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「通信コンポーネント内のロボットサービス名」パラメータで、ドロップダウンリストからロボットサービス名を選択できるようになりました。
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「2D画像のソース」パラメータの初期値を、「同じソースのテクスチャ画像」から「外部カラー画像」に変更しました。
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「2D画像のソース」が「外部カラー画像」の場合、「深度画像の座標系に補正」パラメータはデフォルトでチェックされません。
「出力がない場合に制御フローをトリガー」機能について
Mech-Vision 2.1.1バージョン以降、「ワーク認識」および「位置姿勢を一括調整(V2)」ステップにおいて、「出力がない場合に制御フローをトリガー」パラメータにチェックを入れることで、出力がない場合でも正常に制御フローがトリガーされるようになりました。
「出力」ステップについて
Mech-Vision 2.1.1バージョンでは、出力 ステップを以下のように最適化しました。
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「ドリフト自動補正」パラメータを追加しました。チェックを入れると、取得した最新のドリフト補正データを使用して自動的に補正を行います。このパラメータは、ドリフト自動補正(EIH/ETH) 機能が有効な場合にのみ表示されます。
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ワークライブラリの「点群モデルを作成せずに設定」のフローで保存されたワークを使用する場合は、把持位置姿勢を直接入力する必要があり、ステップで出力される把持位置姿勢は入力された把持位置姿勢と一致します。
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「ポートタイプ」パラメータの初期値を、「事前定義済み(ロボット経路)」から「事前定義済み(ビジョン結果)」に変更しました。
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「シーンを選択」のドロップダウンメニュー内の「マッチング」パラメータ名を、「マッチング(ワーク供給、位置決め・組立など)」に変更しました。
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「点群モデル不要なワーク」パラメータを追加しました。適用シーンが「デパレタイジング」や「その他」の場合、設定が必要となります。
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「ワークの点群を除去」パラメータ名を「基本幾何立体以外のワークの点群を除去」に変更しました。基本幾何立体以外のワークの衝突モデルと重なる点群を除去し、点群が衝突検出に干渉するのを防ぎます。
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「ポートタイプ」が「カスタム」の場合、点群を外部サービスに送信することが可能になりました。
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過去バージョンで作成されたソリューションにおいて、「出力」ステップの特定ポートが接続されている場合、Mech-Vision 2.1.1バージョンで対応するパラメータのチェックを外すと、そのポートはグレーアウト表示されるだけで、データフローは切断されません。
例えば、「出力」ステップのシーンの物体の関連ポートが接続されています。2.1.1 バージョンで「シーンの物体を更新」パラメータのチェックを外すと、そのポートはグレーアウトされますが、データフローは引き続き有効です。この場合は、手動でデータフローを削除する必要があります。
「経路計画」ステップについて
Mech-Vision 2.1.1バージョンでは、経路計画 ステップを以下のように最適化しました。
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「シーンを選択」のドロップダウンメニュー内の「マッチング」パラメータ名を、「マッチング(ワーク供給、位置決め・組立など)」に変更しました。
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「点群モデル不要なワーク」パラメータを追加しました。適用シーンが「デパレタイジング」や「その他」の場合、設定が必要となります。
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「ワークの点群を除去」パラメータ名を「基本幾何立体以外のワークの点群を除去」に変更しました。基本幾何立体以外のワークの衝突モデルと重なる点群を除去し、点群が衝突検出に干渉するのを防ぎます。
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過去バージョンで「経路計画」ステップの特定ポートが接続されている場合、Mech-Vision 2.1.1バージョンで対応するパラメータのチェックを外すと、そのポートはグレーアウト表示されるだけで、データフローは切断されません。
「ワークの把持戦略を生成」ステップについて
Mech-Vision 2.1.1バージョンでは、ワークの把持戦略を生成 ステップを以下のように最適化しました。
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「点群モデル不要なワーク」パラメータを追加しました。「データ変換方式」が「対象物中心点に基づいて把持戦略を生成」または「対象物中心点に基づいて把持位置姿勢を生成」の場合、このパラメータを設定できます。
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「ワークの名前」入力ポートが接続されており、かつ「点群モデル不要なワーク」パラメータも設定されている場合は、「ワークの名前」入力ポートから取得した名前が優先的に使用されます。
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「ワークの名前」入力ポートが未接続、または接続されていてもワーク名が取得できない場合は、「点群モデル不要なワーク」パラメータの設定に基づいてワーク名が取得されます。
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ワークライブラリに「点群モデルを作成せずに設定」フローを使用してワークを保存している場合、このステップの入力である対象物中心点と出力される把持位置姿勢は一致します。
オペレーターインターフェイスについて
Mech-Vision 2.1.1バージョンでは、オペレーターインターフェイス を以下のように最適化しました。
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オペレーターインターフェイスの設定ツール
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実行画面の設定時に、同じ実行画面を複数追加できるようになりました。「把持順序」実行画面において、点群の参照先をカスタマイズできるようになりました。
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共通設定では、「実行画面のデフォルト表示モード」や「プロジェクト実行中に生産セルの自動切り替え」オプションを設定可能になりました。
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オペレーターインターフェイス
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ドリフト監視 機能を搭載しています。ドリフト自動補正(EIH/ETH) がすでに導入されている場合、以下の機能を使用できます。
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ステータス表示エリアでは、ドリフトの補正値をリアルタイムで確認できます。
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運用保守パネルの「ドリフト自動補正(EIH/ETH)」タブをクリックすると、データ監視ダッシュボードが表示され、ビジョンシステムのドリフトおよび補正状況を確認できます。
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ワークとレシピ情報表示エリアでは、レシピを編集できるようになりました。
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レシピウィンドウでは、最近編集を行ったユーザーの情報を確認できるようになりました。
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「ソリューションアクセス制御」機能について
Mech-Vision 2.1.1バージョンでは、ソリューションアクセス制御 機能を以下のように最適化しました。
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アカウント追加時にユーザー名を設定できるようになり、ユーザー名とパスワードの両方が一意である必要があります。
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各ユーザー種類ごとに、「一定時間の非活動後に自動ログアウト」や「非活動タイムアウト間隔」を個別に設定できるようになりました。
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ログイン方法のグローバル設定が可能になりました。
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ステップライブラリについて
Mech-Vision 2.1.1バージョンでは、一部のステップを削除しました。詳細は下表の通りです。
番号 | 削除されたステップ | 代替ステップ |
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1 |
複数の把持位置姿勢にマッピング |
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2 |
対象物の位置姿勢を予測(Sim2Pick) |
なし |
パラメータレシピエディタについて
Mech-Vision 2.1.1バージョンでは、パラメータレシピエディタ を以下のように最適化しました。
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既存のパラメータレシピをコピー可能になりました。
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レシピ内の各パラメータに対して、カスタムのパラメータ名を設定可能になりました。
問題修正
Mech-Vision 2.1.1 バージョンでは、以下の問題を修正しました。
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同時に多数のMech-Visionプロジェクトを開いていると、ソフトウェアがクラッシュする可能性がある問題を修正しました。
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「カメラから画像を取得」ステップにおいて、「通信コンポーネント内のロボットサービス名」が未設定で、かつ「撮影時のフランジ位置姿勢」を手動入力する場合、フランジ位置姿勢のオイラー角の順序が「X → Y → Z」に固定されて切り替えができず、正しいフランジ位置姿勢を入力できない問題を修正しました。
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4軸または5軸ロボットでハンド・アイ・キャリブレーションを行った際、取得された外部パラメータに誤差が生じる問題を修正しました。
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「ドリフト自動補正(ETH)」機能により生成されたFANUCロボット用サンプルプログラムに誤りがある問題を修正しました。
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ワークがエッジ点群モデルのみを持つ場合、ワークライブラリで点群モデルと衝突モデルを位置合わせした後、ワークライブラリを再度開くと、位置合わせ前の状態に戻る問題を修正しました。
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ワークに対して「把持されている対象物の回転対称」を設定すると、その設定がすべてのワークに適用されてしまう問題を修正しました。
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「直方体の上面」や「円柱上面」タイプの基本幾何立体でワークを作成した際、プロジェクト実行後、ワーク中心点に基づいて生成される把持位置姿勢が正しくない問題を修正しました。
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ティーチング方法で取得した把持位置姿勢に対して、対応するロボットフランジ位置姿勢を180°回転させ、回転後のロボットフランジ位置姿勢でロボットをティーチングした場合、元の位置姿勢と同じ結果になる問題を修正しました。
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「ワーク認識」ステップで「必要なファイルを再読み込み」にチェックを入れた状態で、標準インターフェースコマンドでMech-Visionプロジェクトを実行すると、稀に「ソリューションに登録されていないプロジェクトがあります」というエラーが発生する問題を修正しました。
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特定のデータを使って「ワーク認識」ステップを実行すると、ステップがクラッシュする問題を修正しました。
過去バージョンのソフトウェアで作成したソリューションでは、上記の問題が引き続き発生する可能性があります。2.1.1バージョンでソリューションを再作成するか、テクニカルサポートにお問い合わせください。
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「経路計画」ステップで直線動作を設定しても、実際にはロボット動作が関節動作になる問題を修正しました。
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特定のデータを使用して点群計算を行うと、プロジェクトが稀に異常終了する問題を修正しました。
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「深度画像を点群に変換」ステップで、ワークのエッジ部の点群が欠損する問題を修正しました。
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バージョン2.0.0以前のソフトウェアで取得した画像データを使用して「箱形状の対象物のマスクを検証」ステップを実行すると、ソフトウェアがクラッシュする問題を修正しました。
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標準インターフェース通信で仮想カメラを使用したプロジェクトを実行すると、返されるエラーコードが誤っている問題を修正しました。
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GPUメモリ使用状況のチェック機能が正しく動作せず、GPUメモリを多く使用する機能(可視化出力やオペレーターインターフェイスの表示など)により、ソフトウェアがメモリ不足でクラッシュする問題を修正しました。