メンテナンス保守

以下では、ソリューション導入後のキャリブレーションボールデータの取得方法や日常的なメンテナンス手順について説明します。

キャリブレーションボールデータの定期取得

取得頻度

データ取得頻度を高くすることで、リアルタイムな補正が可能になります。高精度を求められるプロジェクトの場合、1日1回 のデータ取得を推奨します。

ドリフト補正ソリューション導入前に作業セルに周期的なドリフトが発生し異常が見られる場合、その異常周期が k 日であれば、データ取得サイクルは k 日より短く設定する必要があります(推奨は k/2 日)。これにより異常発生前にドリフトを補正し、安定した長期稼働を実現できます。

データ取得のトリガー条件

データ取得は通常、上位システムによりトリガされます。計画された取得頻度に従い、ソリューション導入時に設定されたロボットプログラムを自動または手動で実行してデータ取得を行います。

キャリブレーションボールの日常メンテナンス

キャリブレーションボールのデータ取得を行う前に、以下の確認を 少なくとも1回実施 してください。

緩みの確認と対処

緩みの確認

  • 目視でキャリブレーションボールの表面を確認し、傷、へこみ、汚れ、またはその他の物理的な損傷がないか確認します。

  • 各キャリブレーションボールの取付ボルトにある締付けマーキング(通常は漆塗り線や印)を確認し、以下の問題がないか確認します。

    • マーキングがまだはっきり見えるかどうか。

    • マーキングがずれていたり破損していないか。

マーキングの状態がボルトの緩みの有無を示すため、異常が発見された場合は記録し、担当者へ報告してください。

緩みの対処

キャリブレーションボールに緩みや位置ずれが発見された場合、全てのキャリブレーションデータが無効となるため、再度キャリブレーションボールの情報を取得して更新する必要があります。

緩みが原因でキャリブレーションボールの情報を再取得する必要がある場合、取得前に、作業セルの稼働状況がドリフト自動補正ソリューションを導入した時と同じ条件を満たしていることが必要です。具体的には、ドリフト補正機能が無効な状態でもセルが正常に動作し、ワークを把持できる必要があります。

具体的な操作手順は以下の通りです。

  • キャリブレーションボールをしっかりと再固定し、緩みの原因を特定して排除します。

  • Mech-Visionのワーク認識プロジェクトで「ドリフト補正」ステップの組合せの出力ポートのデータフローを「切断」し、ドリフト補正機能を一時的に無効にします。

  • すべてのワークが正常に把持できるかどうかをテストします。

    • 正常に把持できる場合:キャリブレーションボールの情報を再取得し、それを「基準」と「リアルタイム」情報として更新します。

    • 把持できない場合:ティーチングや他の方法でセルを調整し、正常に把持できる状態にしてから、キャリブレーションボールの情報を再取得して更新します。

  • Mech-Visionのワーク認識プロジェクトで「ドリフト補正」ステップの組合せの出力ポートのデータフローを再度「接続」し、ドリフト補正機能を再度有効にします。

汚れの確認と対応

セル動作中は清掃作業を行わないでください。

キャリブレーションボール表面に汚れがないか確認し、見つかった場合は以下の手順で清掃を行ってください。

  • 準備作業:防塵手袋を着用し、キャリブレーションボールの表面に直接触れないようにします。指紋や油汚れなどが残らないように注意します。

  • 初期清掃:手動式エアブロワーを使用して、キャリブレーションボールの表面のほこりや微粒子、その他の浮遊した汚れを軽く吹き飛ばします。

  • 無塵白布での拭き取り:無塵白布を使用して、キャリブレーションボールの表面を軽く拭き取ります。布にほこりが付いていないことを確認し、摩擦による傷が付かないようにします。

  • 再度ブロワーの使用:再度手動式エアブロワーを使用して、拭き取り後のキャリブレーションボールの表面を清掃し、微細なほこりや繊維が残らないようにします。

  • 最終確認:キャリブレーションボールの表面に汚れやほこりが完全に除去され、傷がないことを確認します。

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