ドリフト自動補正
ドリフトとは、ビジョンシステムの精度ドリフトのことで、通常、外部環境の変化やビジョンシステム内部の不安定性などが原因で、時間の経過とともに精度が徐々に低下する現象を指します。
精度誤差分析ツールには ドリフト自動補正 機能が組み込まれています。本章では、この機能の適用シーンや、EIHおよびETHの場合におけるドリフトの自動補正方法について説明します。
機能
ビジョンシステムの運用中には、複数の要因がその安定性や後続の保守コストに影響を与えます。
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昼夜の気温差や季節の変わり目による作業環境温度の変化が、把持精度の変動を引き起こす可能性があります。
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カメラが衝突した場合、外部パラメータが変化し、カメラの交換が必要になることがあります。カメラ交換後には再キャリブレーションやティーチングによる把持位置姿勢の再設定が求められ、作業負担や生産停止時間が増加します。
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アラート機能がないため、重大な問題が発生するまで問題が発見されないことがあります。
これらの問題を効果的に解決するため、精度誤差分析ツールには ドリフト自動補正 機能が組み込まれています。この機能を活用することで、ビジョンシステムのドリフトを補正し、システムの安定性を向上させ、後期保守コストを削減できます。詳細は以下の通りです。
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ドリフト補正:通常の10mm以内のドリフトを約1mm以内に補正できます。
ビジョンシステムのドリフト補正の原理については、補正原理 をご参照ください。
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カメラのクイック交換:カメラを交換した後、配置済みのマーカーを再撮影するだけで、再キャリブレーションやティーチング法による把持位置姿勢追加などの時間を要する操作を行わずに、精度の高い把持が継続可能です。
交換する新しいカメラは、必ず元カメラと同じ型番である必要があります。異なる型番のカメラを使用する場合は、キャリブレーションボールを再評価・選定する必要がありますので、テクニカルサポートまでお問い合わせください。
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データ監視:ビジョンシステムのドリフト状況をリアルタイムで監視し、ドリフトがしきい値を超えるとアラートが発生します。
適用シーン
「ドリフト自動補正」機能は、以下の場合に適用可能です。
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EIHまたはETH取り付け方式を使用したの1つのカメラの場合。
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EIHまたはETH取り付け方式を使用した複数カメラの場合(複数カメラで点群結合を行う場合を除く)。
ビジョンシステムに1つまたは複数のカメラが含まれていても、点群結合が不要な場合、このツールを用いてドリフトを補正できます。複数カメラがある場合、それぞれのカメラに対してツール内で個別にドリフト補正ソリューションを設定する必要があります。 よい補正効果を確保するため、PRO S、PRO M、LSR L、LSR XLカメラ(ワーキングディスタンスが500~3000 mm)を使用したビジョンシステムでのドリフト補正が推奨されます。その他のワーキングディスタンスのカメラを使用する場合は、テクニカルサポートにお問い合わせください。 |
「ドリフト自動補正」機能に適用範囲と非適用範囲は下表の通りです。
適用範囲 | 非適用範囲 |
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