ティーチング方法による把持位置姿勢を設定し、カメラで点群を取得して点群モデルを生成
この設定フローでは、ティーチング方法を使用してワークに把持位置姿勢を追加し、点群を取得して点群モデルを生成し、ワークを作成します。高い把持精度が求められる、またはロボットなどの精度誤差が大きいシーンに適しています。
ワークライブラリのホームページで、把持位置姿勢ティーチング の下にある 選択 をクリックし、ワーク名を設定すると、設定フローの詳細が表示されます。主な設定フローは下図に示します。
-
ティーチング方法による把持位置姿勢を設定:ティーチング方法を使用してワークに把持位置姿勢を追加します。
-
点群を取得:現在のプロジェクトで点群を取得し、その後、パラメータ調整や3D ROIの設定を行い、点群モデルを生成します。
-
モデルを編集:生成された点群モデルを編集し、点群表示方法の設定や対象物中心点の補正などを行います。これにより、後続のマッチング処理がよりスムーズになります。
-
衝突モデルを設定(オプション):衝突モデルを生成し、経路計画時の衝突検出に使用します。
以下は、設定フローの詳細な説明です。
ティーチング方法による把持位置姿勢を設定
-
ワークをカメラの視野内に配置し、ロボットがワークを正常に把持できることを確認します。
-
ティーチペンダントを使用してロボットを制御し、ワークの予期把持位置姿勢に正確に到達させます。
-
把持誤差を減らすために、ロボットのTCPを点群モデルの中心付近に設定することを推奨します。
-
右側のパラメータ設定エリアに、把持位置姿勢でのロボットフランジ位置姿勢とTCP(ロボットフランジ位置姿勢に対するハンドの相対位置)を記録し、入力します。
-
ティーチペンダントを使用して、ワークの位置を変えずにロボットを把持位置姿勢から離れるように移動させます。
-
ワークの点群を取得し、点群モデルを作成します。
ティーチング方法で把持位置姿勢を追加すると、デフォルトでMech-Vizまたは経路計画設定ツール内のすべてのロボットハンドが有効になり、把持設定は不要です。 |
点群を取得
プロジェクト情報を設定
点群を取得する際には、「カメラから画像を取得」ステップを使用する必要があります。このステップは自動的に選択されています。点群を取得 をクリックすると、可視化表示エリアで点群取得結果を確認できます。
点群表示設定
点群表示設定 を使用して現在のワークの異なる種類の点群モデル(すべての点群、サーフェス点群、エッジ点群)を表示し、実際のニーズに応じて点群モデルを編集できます。また、点群モデルの表示色を変更したり、疑似カラー点群などの参考情報を表示することもできます。
前処理パラメータを調整
各パラメータの詳細な説明については、前処理パラメータの説明 をご参照ください。
プロジェクトで「ワーク認識」ステップを使用している場合、「ワーク認識」ステップのパラメータを使用 を有効にすると、「ワーク認識」ステップのパラメータ値が自動的に同期されます。 |
モデルを編集
生成された点群モデルは、後続のマッチング処理をスムーズに行うために編集が必要です。
点群表示設定
点群表示設定 により、現在のワークの異なるタイプの点群モデル(すべての点群、サーフェス点群、エッジ点群)を表示し、実際のニーズに応じて点群モデルを編集したり、点群モデルの表示色を変更したりできます。また、疑似カラー点群やその他の参照情報も表示できます。
対象物中心点を補正
このツールはワークの中心点を自動で計算しますが、必要に応じて対象物中心点を補正することもできます。用途による中心点の補正 の下に計算方法を選択し、計算を開始 ボタンをクリックして対象物中心点を補正します。
方法 | 概要 | 詳細操作 |
---|---|---|
元の中心点を使用して再計算 |
デフォルトの計算方法となります。対象物自身の特徴と中心点に基づいて対象物中心点を計算します。 |
|
対称中心に補正 |
対象物の対称性に基づいて対象物中心点を計算します。
|
|
特徴中心に補正 |
選択した 特徴タイプ と設定した 3D ROI に基づいて対象物中心点を計算します。 |
|
点群モデルを設定
点群モデルをより良く活用してその後のマッチング処理の精度を高めるために、ツールは以下の2種類のマッチング設定を提供しています。関連設定が必要な場合は、点群モデルを設定 を有効にしてください。
誤マッチングを回避
誤マッチングを回避 機能を有効にすると、設定に基づいてより多くの試行が行われ、より高い信頼度のあるマッチング結果が得られます。ただし、試行回数が増えるため、マッチング処理に追加の時間がかかります。
ここでは、誤マッチングを回避するための2つの方法があり、それぞれ マッチングに失敗する可能性のある位置姿勢を自動的に計算 と 対称性を手動で設定 です。詳細な説明は下表の通りです。
方法 | 概要 | 詳細操作 |
---|---|---|
マッチングに失敗する可能性のある位置姿勢を自動的に計算 |
誤マッチングを引き起こす可能性のある位置姿勢を自動的に計算します。その後のマッチング処理において、これらの位置姿勢と正常にマッチングした位置姿勢は不合格と見なされ、除去されます。 |
|
対称性を手動で設定 |
ワークが対称性を持つ場合、点群モデルの対称性を手動で設定できます。これにより、ロボットがワークを保持している際にロボットハンドの回転を減らし、経路計画の成功率が向上し、計画時間が短縮され、ロボットの動作がよりスムーズで迅速になります。 |
対称性のタイプ を参照して 対称軸 を選択し、その後、対称回数と角度範囲 を設定します。 |
マッチングに失敗する可能性のある位置姿勢を自動的に計算 機能を使用して誤マッチングを回避する場合、それを後続のマッチングでも有効にするには、後のマッチングの関連ステップで対応するパラメータを設定する必要があります。詳細は以下の通りです。
|
重み付けモデルを設定
ワークの認識プロセスにおいて、重み付けモデルを設定することで、選択した特徴を重点的に認識し、マッチング結果の精度を向上させることができます。重み付けモデルは通常、ワークの向きを区別するために使用されます。設定された重み付けモデルがマッチング結果に影響を与えます。以下は、重み付けモデルの設定方法です。
重き付きモデルは、点群表示設定 が サーフェス点群のみを表示 に設定されている場合にのみ設定できます。 |
-
モデルを編集 をクリックします。
-
可視化表示エリアでマウスの右ボタンを長押したまま、ワーク上の一部の特徴を選択します。選択された部分(重み付けモデル)には、マッチング処理中により高い重みが与えられます。
Shift+マウスの右ボタンを長押しすることで、同じ点群モデルに複数の重みを設定することができます。
-
適用 をクリックして、重み付けモデルの設定を完了します。
重み付けモデルを設定した後、それを後続のマッチング処理で有効にするためには、「3Dマッチング」ステップの「モデル選択」パラメータで作成した重み付けモデルを選択し、「位置姿勢フィルタリング」パラメータで 重み付けモデルを使用 を有効にする必要があります。「重み付けモデル」パラメータは、上級 のパラメータ調整レベルで利用可能です。 |
これで、モデルの編集が完了しました。
ドリフト自動補正機能が設定されていない場合、保存 をクリックして上記のワーク設定を保存します。または、次へ をクリックして衝突モデルを設定します。
ドリフト自動補正機能が設定されている場合、次へ をクリックしてドリフト補正データを取得します。
ドリフト補正データを取得
ティーチング法で追加した把持位置姿勢は正確で信頼性があります。ドリフトが発生した場合でも、把持位置姿勢には影響を与えません。この場合、ドリフトを補正すると、把持位置姿勢に過度な補正が行われます。
したがって、ドリフト自動補正機能がすでに設定されている場合、モデルの編集後にはドリフト自動補正(EIH/ETH)のデータ取得を行い、ビジョンシステムのドリフト補正値を取得し、逆補正を行って、ティーチング法で追加した把持位置姿勢が引き続き正確で使用可能であることを確認する必要があります。
-
ドリフト補正データ取得(EIH) または ドリフト補正データ取得(ETH) を行ってください。
-
最後の補正から1日以上経過している場合、新しいドリフト補正データを取得するためにロボットプログラムを再実行する必要があります。
-
最後の補正から1日以内の場合、補正手順をスキップして チェックを開始 を直接クリックできます。
-
-
プログラムの実行結果を確認します。
ロボットプログラムを実行した後、チェックを開始 をクリックして、ロボットプログラムの実行結果を確認します。
チェック結果が合格な場合:ドリフト補正用ロボット自動補正プログラムの実行後に有効なドリフト補正データが生成されたことを示します。
チェック結果が不合格な場合:ドリフト補正用ロボット自動補正プログラムの実行後に有効なドリフト補正データが生成されていないことを示します。この場合、ロボット自動補正プログラムを再実行し、キャリブレーションボールの位置姿勢を再取得することをお勧めします。
ドリフト補正データ取得が完了した後、上記のワーク設定を保存するには 保存 をクリックします。衝突モデルの設定が必要な場合は、次へ をクリックします。
衝突モデルを設定(オプション)
衝突モデルは、経路計画時に対象物が衝突するかどうかを検出するための3Dシミュレーションモデルです。実際の状況に応じて、以下の設定を行うことができます。
衝突モデルの生成方式を選択
このツールは、使用中のワーク設定フローに基づいて、最適な衝突モデルの生成方式を自動的に推奨します。現在推奨されている衝突モデルの生成方式は、STLモデルに基づいて点群立方体を生成 です。すでにインポートされたSTLモデルを使用して点群立方体を生成し、その後に衝突検出を行います。この方法で生成された衝突モデルは精度が高いですが、衝突検出の速度が遅いです。
点群立方体を設定
点群立方体は点群の点を中心に生成した立方体です。衝突を検出する時、立方体と他の物体との衝突は点群の衝突とされます。
ここでは、2 mmの辺長を持つ立方体を点群表面に配置して、衝突検出計算を行います。ワークの実際のサイズが小さすぎる場合、点群立方体の辺長とほぼ同じになるため、衝突モデルの精度が低下する可能性があります。逆に、ワークの実際のサイズが大きすぎる場合、点群立方体の数が多くなりすぎるため、衝突検出速度が遅くなる可能性があります。
モデル合わせ
衝突モデルをワークの点群モデルに合わせて効果的な衝突検出を行うためには、点群モデルと衝突モデルを自動的に合わせる をクリックします。または、衝突モデルの位置姿勢を手動で調整して、ワークの点群モデルと一致させることも可能です。
把持されているワークの対称性を設定
対称性のタイプ を参照して 対称軸 を選択し、その後、対称回数と角度範囲 を設定します。
これで、衝突モデルの設定が完了しました。保存 ボタンをクリックすると、ワークが ソリューションフォルダ\resource\workobject_library
パスに保存され、その後のマッチング関連のステップで使用できるようになります。