サイクルタイムの改善ガイド

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以下では、3D ロボットビジョンソリューションの各段階において、アプリケーションサイクルタイムを改善する方法を説明します。

画像取得

露出時間の短縮

Mech-Eye Viewerソフトウェアを使用して、安定した画像品質確保しながら、露出回数を最小限に抑え、露出時間を短縮します。

  • 3D画像の場合、露出回数が少なく、露出時間が短いほど、サイクルタイムが短くなります。

  • 2D画像の場合、露出モードの時間はFlash < Timed(固定露出) < Auto(自動露光)の順に時間がかかります。2D画像が不要または2D画像で十分な場合、Flashを選択してもいいです。

露出時間を短縮する際は、画像品質も確保する必要があります。構造が複雑な金属部品やディテール特徴を持つ対象物の認識には、2D露出モードに切り替え、異なる3D露出時間を設定して2~3回撮影することを推奨します。

2D/3D露出パラメータの調整については、撮影速度の向上 および カメラパラメータ をご参照ください。

さらに、露出時間が長すぎる場合、照明を追加し、露出時間を短縮することで取得速度を高めることもできます。

Mech-Eye Viewerソフトウェアとカメラのファームウェアを最新バージョンにアップデート

Mech-Mindは、深度画像および点群の生成速度を向上させ、カメラの画像取得速度を向上させるために、Mech-Eye Viewerソフトウェアとカメラファームウェアの最適化を続けています。

したがって、Mech-Eye Viewerソフトウェアとカメラファームウェアを最新バージョンにアップグレードします。

ROIと深度範囲を調整

プロジェクトに必要な最大視野に応じて、Mech-Eye Viewerソフトウェアで 関心領域(ROI) および 深度範囲 を設定し、不要な領域や深度を除去することで、画像生成時間を短縮します。

ROIおよび深度範囲の調整については、カメラパラメータ をご参照ください。

カメラの伝送速度を確保

カメラは動作中に伝送速度を表示し、通常の範囲は700〜800Mbpsです。

Mech-Eye Viewerソフトウェアでカメラを接続した後、データ取得エリアで接続されたカメラの伝送速度を確認できます。

伝送速度が低すぎる場合は、スイッチやIPCなどのデバイスが、産業用ギガビットネットワーク伝送規格に準拠しているか確認してください。

伝送速度はデータ伝送がある場合にのみ表示されます。また、伝送データ量が少ない場合は、伝送速度が低く表示されることがあります。

カメラの交換

ビジョンソリューション設計段階では、カメラの動作範囲に加えて、異なるカメラ製品シリーズの撮影時間の違いにも注意を払う必要があります。撮影時間の詳細は、カメラの技術仕様 に記載されています。

現在のアプリケーションのサイクルタイムがプロジェクトの要件を満たしておらず、他の最適化手段によって効果的に改善できない場合は、カメラを交換することで改善することもできます。

ビジョン処理

ステップ実行の高速化

カメラから画像を取得

「カメラから画像を取得」ステップはMech-Visionプロジェクトで最も重要なステップの一つであり、通常は全体実行時間の約40%を占めます。このステップを最適化することで、その後の処理速度を大幅に向上させることができます。このステップの実行時間を短縮するための方法は以下の通りです。

  • プロジェクトで2D処理が不要な場合は、「カメラカラー画像」ポートを接続しないでください。これにより、後続の処理時間を直接短縮することができます。

  • Mech-Vizソフトウェアを使用しない場合は、画像取得が完了した直後にロボットを固定位置に移動させます。これにより、ロボットが動作する前にビジョン結果を取得するために待機する必要がなくなり、全体の速度と効率が改善されます。この方法を実現するには、ビジョンシステムとロボットプログラムの連携が必要です。

capture images from camera

点群処理の関連ステップ

Mech-Visionプロジェクトでは、点群処理が重要なステップの一つです。点群処理を最適化することで、全体の処理速度と効率を大幅に向上させることができます。以下に、最適化するための方法を示します。

  • 不要な点群を除去

    「3D ROI内の点群を抽出」ステップに組み込まれている「3D ROI設定ツール」を使用します。3D ROIを設定し、ROI内の点群のみを抽出し、不要な背景点群を除去します。これにより、低精度・高精度マッチングなど、後続の点群処理時間を短縮できます。

    「カメラから画像を取得」ステップの「静的背景除去設定」パラメータを使用して不要な背景点群をさらに除去します。これにより、点群処理の効率が最適化されます。

  • 点群ダウンサンプリング

    高密度な点群が不要なプロジェクトでは、「点群をダウンサンプリング」ステップを使用できます。点群内の点数を減らすことで、特にエッジマッチングや最高層マスクの取得時に処理速度が大幅に向上します。

マッチングの関連ステップ

Mech-Visionプロジェクトでは、3Dマッチングを使用した認識は一般的な処理の一つです。マッチングプロセスを最適化することで、認識の速度と精度を大幅に向上させることができます。以下に、最適化するための方法を示します。

  • 低精度・高精度マッチング

    低精度マッチング:初めに低精度マッチングを行い、空間点群内でモデル点群のおおよその位置を計算します。これにより、マッチング可能な領域を迅速に位置決めし、後続の高精度マッチングのための準備が整います。

    高精度マッチング:低精度マッチングの結果に基づいて、モデルと空間点群との精確なマッチングを行います。高精度マッチングでは通常、より高度なアルゴリズムとより詳細な点群情報を使用して、対象物の位置決めと認識の精度を確保します。

  • マッチングモードの選択

    エッジマッチングとサーフェスマッチング:対象物の特徴に応じて適切なマッチングモードを選択します。明らかなエッジや輪郭を持つ対象物の場合、エッジマッチングが通常より高速かつ高精度な結果を提供します。一方、より複雑な構造を持つ対象物の場合、サーフェスマッチングを使用することで、より正確なマッチング結果を得ることができます。

  • 複数ワークのマッチングの最適化

    ワークのマッチングを行う際には、結果を確保した上で、低精度マッチングと高精度マッチングの「単一点群の出力結果の数」パラメータを適切に小さくすることを推奨します。これにより、マッチング速度とシステムの応答速度が向上し、システムの過負荷や処理効率の低下を回避することができます。

ディープラーニングの関連ステップ

Mech-Visionプロジェクトで「ディープラーニングモデルパッケージを推論」ステップを使用して認識する場合、このステップの 可視化設定画像で検出対象物を絵画 パラメータを無効にすると、ステップの実行速度が向上します。

disable draw detected object

「デバッグ結果出力」機能の無効化

デバッグ結果出力 は、各ステップの可視化出力結果やデバッグ情報を確認・分析するために使用されます。アプリケーションの導入段階でデバッグする際ときに便利ですが、通常の運用時には必須ではありません。

「デバッグ結果出力」を無効にすることで、追加の計算時間とメモリ使用を軽減し、ビジョン処理の速度を向上させることができます。

IPC性能の向上

ビジョン処理タスクは高い計算性能を必要とします。性能の優れたIPCを選択することで、処理速度や並列処理能力を大幅に向上させることができます。さらに、IPCの性能を最適化することで、画像の取得と伝送速度も改善されます。これらの要素を組み合わせて、ビジョンアプリケーションの効率と応答速度を効果的に向上させることができます。

経路計画

Mech-Vizでは、パラメータ設定が不適切だと衝突を引き起こす可能性があります。パラメータを変更する際は、十分にテストを行うことが重要です。

時間計画の最適化

EIHの場合、ロボットがワークを把持した後にすぐに画像を取得することを推奨します。この方法では、ロボットは画像取得時にのみ停止し、取得が完了した後に配置作業を開始します。ロボットがワークを配置している間にバックグラウンドでデータ処理を行い、ロボットが配置作業を完了した後にすぐに次のワークの把持を開始できるようにします。

ロボットがワークを配置する実行時間が、ビジョンが把持位置姿勢を処理して出力する時間より短い場合、ロボットは停止して待機する必要があります。

ETHの場合、ロボットがワークを把持し、カメラの視野外に移動して画像を取得することを推奨します。この方法では、画像取得のためにロボットが停止する必要はないかもしれません。ロボットが移動している間にバックグラウンドでデータ処理を行い、ロボットが配置作業を完了した後に次のワークの把持を開始できるようにします。

ロボットが待機する必要があるかどうかは、次の2つの操作のどちらに時間がかかるかによって決まります:

  • ロボットがカメラの視野の範囲外に移動し、配置位置に到達し、再びカメラの視野に戻るまでの時間。

  • 画像取得時間とビジョンが把持位置姿勢を処理して出力する時間の合計。

ロボットの移動時間が長い場合は、ロボットは停止して待機する必要はありません。後者の時間が長い場合は、ロボットは停止して待機する必要があります。

段ボール箱のデパレタイジングのシーンでは、 各把持後に他の箱の位置が変わらない場合、「一回撮影で複数把持」の戦略を使用することが可能です。つまり、Mech-Visionが一度に複数の対象物を認識し、それらのすべての位置姿勢を提供します。ロボットは認識されたすべての段ボール箱をバッチ処理で把持することができます。これにより、画像取得の時間を大幅に短縮できます。さらに、ロボットハンドが十分に大きい場合は、複数の箱を一度に把持することが可能で、把持効率をさらに向上させます。

繰り返し把持の場合、ビジョン結果を取得するための待機時間を短縮することを推奨します。通常、システムが迅速に応答し、高効率で動作を確保できるように、待機時間を50ミリ秒以下に設定することを推奨します。

improve wait time

ロボットハンドや信号計画の最適化

最適化方法は以下の通りです。

  • ロボットハンド開閉後の待機時間を短縮

    待機時間が短すぎると、対象物の把持や配置作業が不安定になる可能性があります。そのため、待機時間を適切に設定することが重要です。変更前に十分なテストを行い、把持と配置作業の安定性を確認してください。
  • 吸盤の吸着解除を繰り上げる

    吸盤の吸着解除を繰り上げることで、把持プロセスのサイクルタイムを向上させ、他のワークとの接触による影響を避けることができます。

  • 動作中にロボットハンドの開閉信号を変更

    ロボットが移動している間にロボットハンドの開閉信号を動的に切り替えることで、よりスムーズな動作と遅れを少なくすることができます。これにより、プロジェクト全体のサイクルタイムを最適化できます。

  • ロボットハンドモデルの簡略化

    衝突検出に必要のない部分を削除することによってロボットハンドモデルを最適化すると、Mech-Vizが衝突計算にかかる時間を大幅に短縮できます。モデルの簡略化により、計算速度とシステム全体の応答効率を向上させることができます。

シーンの計画の最適化

最適化方法は以下の通りです。

  • シーンのモデルの簡略化

    衝突検出の精度に影響を与えない前提で、複雑なシーンモデルを簡略化します。シーン内の複雑な幾何立体や重要でないディテールを削減することで、Mech-Vizが衝突計算にかかる時間を大幅に短縮できます。

  • 固定コンテナの使用

    動的なコンテナの代わりに固定コンテナを使用することで、コンテナ位置の更新が頻繁に行われる必要がなくなります。この方法は、供給位置が固定であるシーンに適しています。固定コンテナを使用することで、ロボットが経路を計画している間のシーンの変化に対する応答時間を短縮することができ、その結果、計画時間が短縮され、より効率的な実行が可能になります。

    この方法を使用する際は、供給位置が一致していることを確認してください。

経路計画の最適化

最適化方法は以下の通りです。

  • 経路点を適切に設定

    経路点をできるだけ把持点や配置点に近い位置に設定し、必要のない経路点を減らします。経路点の位置を最適化することで、ロボットの把持と配置作業中の不必要な移動を減らし、経路計画の効率と全体的なサイクルタイムを向上させることができます。

  • ロボットの6軸の回転を削減

    一部のロボットでは、6軸の回転速度が遅いため、経路計画時にこの動作をできるだけ減少させるようにします。ロボットハンドの対称性やワークの配置位置を合理的に設計することで、6軸への依存を減らし、ロボットの動作速度とサイクルタイムを向上させることが可能です。

  • 経路点のブレンド半径を大きくする

    経路点の設定時にブレンド半径を大きくすることで、ロボットの移動経路をよりスムーズで連続的にすることができます。スムーズな経路により、ロボットの加減速時間を短縮し、全体的な移動速度と経路計画の効率を向上させます。

  • Z軸の持ち上げ高さを低減

    経路計画や安全性に影響を与えない前提で、ロボットの把持後のZ軸の持ち上げ高さをできるだけ低く設定します。持ち上げ高さを小さくすることで、ロボットの相対的な移動距離が短くなり、移動時間が短縮し、サイクルタイムが向上します。

生産モードを有効化

Mech-Vizのツールバーで 生産モード をクリックすると有効になります。

生産モードが有効になると、ソフトウェアは「衝突の強度がしきい値を超えると、現在のソリューションの計算を停止」や「計画履歴に保存しない」など、衝突検出機能の一部を使用できません。また、点群表示の密度を下げることで、ソフトウェアの実行効率を向上させます。

ロボットの把持と配置

ロボットの把持と配置作業の段階では、ロボットの絶対精度を確保することが必須です。メンテナンス担当者は、定期的にロボットの点検を行う必要があります。

  • ロボット台座が揺れていないか確認します。台座に揺れがある場合は、ロボットの使用を直ちに停止し、それを再度固定する必要があります。

  • ロボットの原点がずれていないか確認します。原点ずれはロボットの精度に影響を与える可能性があります。ロボットの絶対精度をチェックするには、ロボットの絶対精度をチェック をご参照ください。

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