撮影距離設定
カメラの精度と画像品質は、データ収集距離(撮影距離、カメラと対象物との距離)から影響されます。データを取得するためにカメラを使用する際に、データ品質の要求を満たすように撮影距離を調整する必要があります。
概念説明
ここではカメラ精度と画像効果、距離について説明します。
精度
カメラの精度は、絶対精度と繰り返し精度に分けられます。
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絶対精度
VDI/VDE 測定精度とも称され、測定値と真値との一致の程度を示すものです。
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繰り返し精度
撮影条件を変更せずに同じ対象物を複数回撮影した測定値の一致の程度を示すものです。
データ品質
テクスチャの鮮明度と点群品質によって判断します。その内、点群品質はカメラの環境光耐性に影響されます。
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テクスチャ鮮明度
画像がどれだけはっきり見られるかということです。
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点群の品質
点群の品質は、完全性と真実性、空間解像度の 3つの基準で評価します。その内、点群品質はカメラの外乱光耐性に影響されます。
空間解像度とは、一定体積の空間に取得した点数のことです。空間内に取得した点が多いほど、空間解像度が高くなります。
各型番のカメラ空間解像度については、空間解像度をご参照ください。
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外乱光耐性
外乱光は、カメラが取得するデータの信号対雑音比に影響します。同じ照度の外乱光では、対象物がカメラに近いほど信号対雑音比が高くなります。
距離
データ収集時にカメラと対象物との距離のことです。ワーキングディスタンスと推奨ワーキングディスタンス、焦点距離があります。
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焦点距離
この距離では絶対精度、点群品質、テクスチャ鮮明度が高いデータが収集できます。
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推奨ワーキングディスタンス
この範囲で収集したデータの絶対精度と点群品質は高いです。
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ワーキングディスタンス
この範囲で収集したデータの精度と点群品質は一般的な現場要求を満たします。
各型番のカメラの距離については、技術仕様をご参照ください。 |
精度と画像品質の要求に合わせて距離を設定する
同じ条件では、カメラのワーキングディスタンス、推奨ワーキングディスタンス、焦点距離で取得するデータは、精度と画像品質が異なります。高い精度または画像品質が必要な場合に以下の距離を推奨します。
プロジェクト要件 | 距離 |
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高い絶対精度 |
推奨ワーキングディスタンス範囲内で撮影することを推奨。対象物が焦点距離に近いほどより高精度なデータが取得できます。 |
高い繰り返し精度 |
ワーキングディスタンス範囲内で撮影することを推奨。対象物がカメラに近いほど繰り返し精度がより高いデータが取得できます。 |
空間解像度 |
ワーキングディスタンス範囲内で撮影することを推奨。対象物がカメラに近いほど空間解像度がより高いデータが取得できますが視野が狭くなります。 |
高いテクスチャ鮮明度 |
UHP-140とPRO XS:焦点距離で撮影することを推奨。 |
UHP-140とPRO XS以外の型番:ワーキングディスタンス範囲内で撮影することを推奨。 |
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高い外乱光耐性 |
ワーキングディスタンス範囲内で撮影することを推奨。この範囲内では対象物がカメラに近いほどより高い外乱光耐性が実現可能になります。 |
プロジェクトに合わせて距離を設定する
プロジェクトによってデータへの要求が異なります。以下のようにプロジェクトに合わせて距離を設定してください。
プロジェクト | 特徴 | 距離 |
---|---|---|
バラ積みピッキング |
高い画像品質が求められる |
推奨ワーキングディスタンス範囲内で撮影し、対象物を可能な限りカメラに近いようにすることを推奨します。 |
点群の組合せ |
高い精度が求められる |
推奨ワーキングディスタンス範囲内で撮影し、対象物を可能な限りカメラに近いようにすることを推奨します。 |
寸法測定 |
高い絶対精度が求められる |
推奨ワーキングディスタンス範囲内で撮影し、対象物を可能な限りカメラ焦点距離に近いようにすることを推奨します。 |
欠陥検出 |
高い絶対精度と点群品質が求められる |
ワーキングディスタンスが短くて視野が狭いカメラを使用し、焦点距離で撮影することを推奨します。 |