Mech-Vision 1.7.0バージョンの更新説明¶
本節では、Mech-Vision 1.7.0バージョンの新機能や機能最適化、問題修復について説明します。
新機能¶
Mech-Visionによるビジョンアプリケーションのワンストップ展開をサポートする新しい「ソリューション」¶
1.7.0バージョンでは、 ソリューション を追加しました。ソリューションとは、ビジョンアプリケーションを実現するために必要なロボットと通信、ビジョン処理、経路計画などの機能構成やデータの集りのことです。
ソリューションは1つまたは複数のプロジェクトで構成されています。プロジェクトを単独で使用することは推奨されず、ソリューションに割り当てて使用する必要があります。
ソリューション機能のサポートにより、ロボットの選択、ロボット通信方式の設定、ビジョンプロジェクトの構築、ロボットの動作経路計画などを1つのソリューションで行うことができ、ビジョンアプリケーションへの実装を実現しています。
ヒント
ビジョン結果と簡単な経路計画が必要なプロジェクトでは、Mech-Visionという1つのソフトウェアだけでアプリケーション全体を展開することが可能です。
標準インターフェース通信またはAdapter通信を使用する場合、ロボットプログラムが呼び出すMech-Visionプロジェクト番号はMech-Centerからではなく、Mech-Visionプロジェクトリストから取得するようにしました。
過去のMech-Visionプロジェクトについては、アップグレード後にプロジェクトの変換を完了させる必要があります。詳細については、 プロジェクトを1.7.0バージョンへアップグレードする方法 をご参照ください。
Mech-Visionに統合したMech-Centerの通信サービス機能¶
1.7.0バージョンでは、 ロボット通信設定 機能を追加しました。この機能により、Mech-Centerソフトウェアを起動せずに、Mech-Visionソフトウェア内で通信設定を行った後に、ロボットのインポートや選択、ロボットなどの外部機器との通信を行えるようになりました。
統合した通信サービスを使用する際に、次のことに注意してください。
Mech-Visionソリューションを使用し、通信方式が標準インターフェースまたはAdapter通信の場合、Mech-Centerソフトウェアは必要ありません。
Mech-Visionのツールバーで ロボット通信設定 をクリックし、ロボットを選択して通信方式を設定し、「適用」をクリックすると、インターフェースサービスが自動的に起動されます。
ロボットのメーカーがABB、FANUC、YASKAWA、KAWASAKI、KUKA、UR、TM、ELITE、JAKAの場合、デフォルトで選択される通信設定は、Mech-Mindが提供するロボット側の標準インターフェースのサンプルプログラムで使用されている通信設定と一致しています。その他のメーカーのロボットの場合、デフォルトで選択されている通信設定はTCP/IPです。
インターフェース設定を行う際に、「ソリューションを開くとインターフェースサービスを自動的に起動」にチェックを入れることが可能です。これにより、次回ソリューションを開くと、プロジェクトがロボット側と直接通信するようになります。
通信関連のログは、Mech-VisionのログバーのConsoleタブに表示されます。
Adapterのインターフェース設定を行う際に、Adapterプロジェクトフォルダを選択すると、選択したフォルダは自動的に現在のソリューションフォルダに移動されます。
ソリューション内のAdapterプログラムを変更して有効にするには、Adapterプログラムを再起動し、インターフェースサービスを再起動する必要があります。
また、Mech-Centerで「PC起動時にMech-Centerを自動的に実行」のチェックを外す必要があります。
Mech-Visionソリューションを使用しない場合、または通信方式がVizティーチングの場合、Mech-Centerソフトウェアが必要です。
まずMech-Centerを起動します。次にMech-Visionを起動し、過去バージョンと同様に通信設定を行う必要があります。
Mech-Centerで「PC起動時にMech-Centerを自動的に実行」にチェックを入れること、Mech-CenterからMech-Visionを起動することを推奨します。
複合ステップ「経路計画」¶
1.7.0バージョンでは、 経路計画 機能を追加しました。この機能により、入力されたビジョンポイントを使用してロボットの動作経路を計画し、衝突のない経路を出力することができます。金属部品供給に適しており、簡単な経路計画に対応しています。
複合ステップ「ワーク認識」¶
1.7.0バージョンでは、 ワーク認識 ステップを追加しました。このステップでは、点群前処理、3Dマッチング、積み重ねられた対象物除去などのビジョン処理機能が統合されています。これにより、ワークの高速認識を実現しています。金属部品のピック&プレースに適しており、様々な形状と配置状態のワークを認識可能です。
「ようこそページ」¶
1.7.0バージョンでは、 ようこそページ を追加しました。この画面では、ソフトウェアのバージョン情報だけでなく、ユーザーマニュアルや関連操作へのクイックアクセスを提供しています。
「ソリューションライブラリ」¶
1.7.0バージョンでは、 ソリューションライブラリ を追加しました。ソリューションライブラリには、部品供給、パレタイジング・デパレタイジング、位置決め・組立、商品仕分け、品質検査の5つの業界に適用可能なソリューションやプロジェクトに加え、サンプルデータも提供しています。初心者は、ソリューションやプロジェクトの添付画像と説明をもとに、適切なソリューションやプロジェクトを選択し、簡単な修正を加えた後、そのまま使用することができます。
Mech-Mindは今後も、最新のソリューションライブラリをダウンロードして使用できるオンラインソリューションライブラリを拡充していく予定です。
「一般的な部品ピッキング」のソリューションテンプレート¶
1.7.0バージョンでは、ソリューションライブラリにソリューションテンプレート「一般的な部品ピッキング」を内蔵しています。様々な形状と配置状態のワーク認識をサポートし、ロボットが「衝突ゼロ」の部品ピッキングを完了することを実現します。4つの手順だけで3Dビジョンソリューションを構築することが可能です。工作機械の加工及び輸送、部品搬送などに適しています。
アルゴリズムの強化¶
1.7.0バージョンでは、下記のいくつかの新しいステップを追加しました。
新しいステップ |
説明 |
このステップは、 3D位置姿勢高精度推定 を使いやすくしたもので、より直感的なパラメータ調整により、点群モデルとシーンの点群を正確にマッチングさせて対象物の位置姿勢を出力することが可能です。 |
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このステップは指定されたルールに従って積み重ねられた対象物のビジョン認識結果を除去できます。 重複対象物を除去 と比較して、このステップは投影方法の処理速度を向上させます。 |
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大型部品測定の業界向けに、一般的な機能を搭載したステップの組合せを提供します。現場で簡単な測定プロジェクトを構築する時に役立ちます。 |
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このステップは2D画像と深度画像から把持対象物を認識し、把持位置姿勢を出力できます。 |
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このステップは、法線ベクトルを計算し、点群内の対象物エッジを推定することでエッジ点群を出力することができます。 |
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このステップは、入力点群をカメラ座標系または直行ロボットの座標系に変換して出力できます。 |
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このステップは、入力位置姿勢をカメラ座標系または直行ロボットの座標系に変換して出力できます。 |
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このステップは入力した2D画像内の点を円にフィッティングすることができます。通常、計測のシーンに使用されます。 |
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このステップは入力した2D画像内の点を直線にフィッティングすることができます。通常、計測のシーンに使用されます。 |
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このステップは、2つの線分の交点のピクセル座標を計算できます。通常、計測シーンに対象物の特徴点を見つけるために使用されます。 |
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このステップは、入力線分または線分と円の双方向延長線の交点のピクセル座標を計算できます。通常、計測シーンに対象物の特徴点を見つけるために使用されます。 |
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このステップは、指定方法に従って入力された2値画像の形状を処理できます。通常、計測シーンでの様々な計算を容易にするために対象物の輪郭を処理するために使用されます。 |
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このステップは入力された2値画像の穴、すなわち非ゼロピクセルで完全に囲まれた領域を埋めることができます。通常、対象領域の完全な画像を取得し、穴領域の画像欠落による干渉を避けるために、画像分割に使用されます。 |
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このステップは、様々な計算方法を指定することにより、入力画像の鮮明さを定量的に評価することができます。通常、計測シーンでカメラのパラメータや位置調整に役立ちます。 |
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このステップは、指定された色空間のカラー画像を入力し、指定されたチャンネル内のピクセル値(平均値、標準偏差、最大値、最小値を含む)をカウントすることができます。通常、計測シーンで画像の色を評価するために使用されます。 |
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このステップは、狭いROIの垂直方向に沿ってエッジポイントまたはエッジポイントペアを検出し、エッジポイントの座標とエッジポイントペア間の距離をピクセル単位で出力することができます。 |
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このステップでは、入力された3つの2D形状情報リストから、X値リスト、Y値リスト、Theta値リスト(Thetaは傾斜角度)を取り出し、組み合わせて新しい2D位置姿勢リストを作成することができます。 |
LNXカメラに対応¶
ラインスキャンレーザーカメラ ステップでは、LNXカメラに対応可能なLNXカメラタイプを追加しました。
直行ロボットのハンド・アイ・キャリブレーションに対応¶
1.7.0バージョンでは、キャリブレーションツールを最適化し、 直行ロボットのハンド・アイ・キャリブレーション に対応します。直行ロボット専用のキャリブレーション手順を設計し、複雑な設定をせずに直行ロボットをキャリブレーションすることができるようになりました。
また、直行ロボット専用の 点群変換(直行ロボット) と 位置姿勢を変換(直行ロボット) ステップを追加しました。Mech-Visionプロジェクトでは、動的外部パラメータを計算するためにこれらのステップを使用する必要があります。
「ディープラーニングモデルパッケージ管理ツール」を追加¶
1.7.0バージョンでは、 ディープラーニングモデルパッケージ管理ツール を追加しました。これは、「ディープラーニングモデルパッケージを推論(Mech-DLK 2.2.0+)」と「ディープラーニングモデルパッケージを推論(CPU)」ステップに使用するディープラーニングモデルパッケージを最適化し、実行モードやハードウェアタイプ、モデルパッケージ状態などを管理することが可能です。さらに、このツールは産業用PCのGPU使用率監視に対応します。
機能最適化¶
アルゴリズムの改善¶
1.7.0バージョンでは、下記のいくつかのステップを最適化しました。
最適化したステップ |
説明 |
モデルパッケージの設定 と 欠陥判定ルールの設定 (欠陥検出向け)のパラメータグループを追加しました。 |
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ディープラーニングモデルパッケージを推論(CPU) |
モデルパッケージの設定 パラメータグループを追加しました。 |
異常値処理 パラメータを追加しました。数値の偏差が設定されたしきい値を超えた場合、 異常値を発見したら即エラー報告 または 異常値を記録してマーク のいずれかを選択することができるようになりました。 異常値を記録してマーク を選択した場合、異常値は出力テキストファイルに赤色でマーカーが付けられます。 |
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キャリブレーションによる計算 パラメータを追加しました。入力画像を使用して自動的にキャリブレーションを行い、キャリブレーションで得られたカメラパラメータに基づいて、実際の距離を計算します。キャリブレーションを行わない場合よりも、より正確な計算が行われます。 |
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DualThreshold 、 DynamicThreshold の分割操作のタイプを追加しました。 |
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各層の開始位置 パラメータを追加しました。層間隔とソートする位置姿勢配列の入力により、ソート後の配列とインデックスを出力することができます。 |
一部のステップを削除¶
1.7.0バージョンでは、下記のいくつかのステップを削除しました。
親グループ-子グループ |
削除したステップ |
2D特徴抽出-ほか |
指定コーナーおよび寸法によって長方形を検出 |
2D汎用処理-ほか |
ポリゴンを配置 |
ディープラーニング-未知対象物の把持 |
把持のヒートマップから位置姿勢を計算、把持位置姿勢を予測(同じタイプ)、各画素の把持可能な確率を予測 |
測定-3D長さ/距離 |
点から二つの平面の交線までの距離を計算、点から平面までの距離を計算 |
古いバージョンのステップ |
画像で情報を可視化、障害物に応じて目標点を調整 |
位置姿勢-並進/方向を調整 |
障害物に応じて目標点を調整(V2) |
ほか |
把持可能な長方形を検出 |
「マッチングモデル・把持位置姿勢エディタ」について¶
1.7.0バージョンでは、 マッチングモデル・把持位置姿勢エディタ を次のように最適化しました。
メイン画面を最適化し、主要な機能を強調し、使いやすさを改善しました。
ツールバーのレイアウトを最適化し、操作説明を表示するための動画を追加しました。
カメラを使用した点群取得の流れを最適化し、エッジ点群の取得に対応する機能を追加しました。
CADファイルをインポートする時の単位選択機能を最適化しました。
「モデルエディタ(古いバージョン)」を削除¶
1.7.0バージョンでは、「モデルエディタ(古いバージョン)」を削除しました。点群モデルの作成や把持位置姿勢の生成が必要な場合、 マッチングモデル・把持位置姿勢エディタ を使用してください。
6軸ロボットのキャリブレーション手順について¶
1.7.0バージョンでは、 6軸ロボットのキャリブレーション手順 を次のように最適化しました。
キャリブレーションの設定手順内では、ロボット選択やロボットプログラムの読み込み、ロボット接続などの機能を追加しました。ロボットへの接続は、キャリブレーションの設定手順内で完了できます。
新しいロボットシミュレーション画面(シーンビュー)により、Mech-Vizソフトウェアがなくても、設定したキャリブレーション経路とロボット位置をキャリブレーション中にリアルタイムに確認することができます。
インターフェイスのレイアウトを最適化し、キャリブレーションのためのガイダンスもより明確になりました。
「パラメータレシピ」について¶
1.7.0バージョンでは、 パラメータレシピ を最適化しました。 パラメータを更新 をクリックし、ワンクリックでプロジェクト内のパラメータを現在のレシピに同期することができるようになりました。
「プロジェクト編集エリア」について¶
1.7.0バージョンでは、プロジェクト編集エリアのインタラクションデザインを最適化し、グリッドと位置合わせ機能を追加し、必要に応じて位置合わせグリッドの表示有無を設定できます。また、基準線、ステップドラッグ&ドロップ吸着を調整できるようにしました。
コメントしたカメラ名の表示に対応¶
Mech-Visionでカメラを接続した後、カメラIDにカーソルを合わせると、コメントしたカメラ名とIPアドレスが表示されるようになりました。
長さと角度の単位の初期設定を変更¶
長さと角度の単位の初期設定を、「ステップに組み込み単位を使用」から「mm」と「°」に変更しました。
日本語と韓国語の言語パックのオンラインおよびオフライン更新をサポート¶
1.7.0バージョンでは、日本語と韓国語のUI言語パックのオンラインおよびオフライン更新に対応しています。さらに、Mech-Mind株式会社からオフラインの日本語の言語パックの取得をサポートしています。言語パックの更新のためにソフトウェアに言語パックファイルをドラッグすることで更新が可能です。
問題修復¶
ステップ「カメラから画像を取得」について¶
1.7.0バージョンでは、 カメラから画像を取得 ステップでHikonの2Dカメラに接続できない問題を修正しました。
ステップ「Pythonを使用して結果を計算」について¶
1.7.0バージョンでは、ステップ Pythonを使用して結果を計算 の問題を修正しました。詳細は以下の通りです。
プロジェクト実行中にこのステップがスムーズに実行できないこと。
PostListデータ型のマージ時に、出力された位置姿勢の四元数の順序が正しくないこと。