対象物の回転対称性

本節では、対象物の回転対称性について説明します。

概要

注釈

本節での「対称性」とは「回転対称性」を指します。

回転対称とは、2 次元図形を一つの点を中心に回転させた場合に元の図形に完全に重なり合うことです。対称性がある対象物に対し、対象物の対称性パラメータを設定することができます。対象物の対称性を利用すると、ロボットが把持や配置を実行するときに発生するロボットハンドの回転を低減し、把持計画の成功率を向上させることが可能です。これによって、ロボットがさらにスムーズに動作します。

対称性のタイプ

回転対称軸を確認する

マッチングモデル・把持位置姿勢エディタ で設定した幾何学的中心点の軸を回転対称軸とします。回転対称軸は一つだけではありません。対象物の配置方式やロボットハンドの種類などによって、Mech-Vision で設定された対象物の幾何学的中心点は異なるので対称軸も異なります。

以下では一般的な対象物の対称タイプを示します。対象物の対称タイプについては、マッチングモデル・把持位置姿勢エディタ を参考して幾何学的中心点と把持点の設定を確認してください。

対称性を持たない対象物

下表に示す対象物は対称性を持たない対象物です。

../../_images/objects_configuration_pickpoint11.png ../../_images/objects_configuration_pickpoint21.png ../../_images/objects_configuration_pickpoint31.png ../../_images/objects_configuration_pickpoint41.png

クローラシュー

コネクタ

自動車ドア板金

ハウジング

Z 軸に関して対称性を持つ対象物

下表に示す対象物は Z 軸に関して対称性を持つ対象物です。

../../_images/objects_configuration_pickpointz11.png ../../_images/objects_configuration_pickpointz21.png ../../_images/objects_configuration_pickpointz31.png ../../_images/objects_configuration_pickpointz41.png

ブレーキディスク

フランジ

歯車

段ボール箱

X/Y 軸に関して対称性を持つ対象物

下表に示す対象物は X/Y 軸に関して対称性を持つ対象物です。

../../_images/objects_configuration_pickpointxy11.png ../../_images/objects_configuration_pickpointxy21.png ../../_images/objects_configuration_pickpointxy31.png ../../_images/objects_configuration_pickpointxy41.png

整列して並べられた反射する鋼棒

ばら積み鋼棒

ホースコネクタ

ボルト

対称回数

対象物を対称軸を中心に a° 回転させた後元の図形に完全に重なり合う時、対象物の対称回数は N = 360°/a° です。

例えば、一般的な段ボール箱の対称回数(N)は 2 で、三角柱の対称回数(N)は 3 で、円柱の対称回数(N)は無限大(円対称)です。

../../_images/objects_configuration_pickpointtimes11.png ../../_images/objects_configuration_pickpointtimes21.png ../../_images/objects_configuration_pickpointtimes31.png ../../_images/objects_configuration_pickpointtimes41.png

N = 2

N = 4

N = 9

円対称

試行範囲

下図に示すように、B と C の間の角度が試行範囲となります。

../../_images/workobject_symmetry_typerange1.png

A はロボットハンドの把持位置姿勢で、B と C は把持を実行できる範囲の限界角度です。

試行範囲は対象物の配置方式やコンテナの形状、ロボットハンドの種類、タクトなどによって設定する必要があります。試行範囲を大きく設定すると計画の速度が遅くなりますが、小さく設定すると把持点に到達できなくなる可能性があります。

試行回数

対称回数と試行範囲によって自動的に計算されます。

対称回数 N は 10 とし、試行範囲は ±80° とすると、対称角度の間隔は 360°/10 = 36° となります。ある方向の試行回数は 80/36 = 2 あまり 8 となり、つまり試行回数は 2 となります(それぞれ 36° と 72°の位置で試行します)。もう一方の方向も併せて試行回数総計は 1+2*2 = 5 となります(-72°、-36°、0°、36°、72°の位置で試行します)。