対象物の回転対称性

本節では、対象物の回転対称性について説明します。

概要

注釈

本節では、「対称性」とは「回転対称性」を指します。

対象物の対称性とは、対象物の対称軸を中心に回転させたときに、回転前の形状と一致する能力を指します。対象物が対称性を持つ場合、ユーザーは特定の要件に基づいて、対象物設定で対称性関連のパラメータを設定設定することができます。対象物の対称性を設定することで、ロボットの把持や配置時の先端の回転を抑え、計画の成功率を高め、計画時間を短縮し、よりスムーズで高速なロボット動作を可能にします。

対象物の対称性

回転対称軸の決定

回転対称軸は、 マッチングモデル・把持位置姿勢エディタ で設定された幾何学的中心点の軸を使用します。回転対称軸は唯一ではなく、対象物の配置やロボットハンドの種類など他の要因と合わせて、同じ対象物に複数の幾何学的中心点が設定される場合があり、それが回転対称軸の決定に影響します。

以下は、一般的な配置方式で対象物の対称性一覧です。使用している対象物の回転対称軸がわからない場合は、 マッチングモデル・把持位置姿勢エディタ で幾何学的中心点の設定を確認してください。

非対称の対象物

詳細は下表に示します。

../../../../../_images/objects_configuration_pickpoint1.png ../../../../../_images/objects_configuration_pickpoint2.png ../../../../../_images/objects_configuration_pickpoint3.png ../../../../../_images/objects_configuration_pickpoint4.png

クローラシュー

コネクタ

自動車ドア板金

ハウジング

Z軸を中心とした対称性のある対象物

一般的な配置では、下表に示すような対象物がZ軸を中心とした対称性のある対象物です。

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ブレーキディスク

フランジ

歯車

段ボール箱

X/Y軸を中心とした対称性のある対象物

一般的な配置では、下表に示すような対象物がX/Y軸を中心とした対称性のある対象物です。

../../../../../_images/objects_configuration_pickpointxy1.png ../../../../../_images/objects_configuration_pickpointxy2.png ../../../../../_images/objects_configuration_pickpointxy3.png ../../../../../_images/objects_configuration_pickpointxy4.png

整列して並べられた鋼棒

ばら積み鋼棒

ホースコネクタ

ボルト

対称回数

対象物の対称軸を中心に特定の角度(a°)で回転させると、回転前の形状と一致し、対称回数N=360°/a°とすることができます。

一般的な直方体は対称回数N=2、三角柱は対称回数N=3、円柱は対称回数N=正の無限大(ソフトウェアでの円対称に対応)です。

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N = 2

N = 4

N = 4

円対称(任意角度で回転対称)

試行範囲

下図に示すように、BとCとの角度が試行範囲となります。

../../../../../_images/workobject_symmetry_typerange.png

Aはロボットハンドが把持位置姿勢に位置する把持姿勢となり、B、Cはロボットハンドが試行範囲の境界に位置する把持姿勢となります。

試行範囲は、対象物の配置、箱の形状、ロボットハンドの種類、等に応じて設定する必要があります。試行範囲が大きすぎると計画が遅くなり、小さすぎると到達可能な把持位置姿勢が失われる可能性があります。

試行回数

試行回数は、対称回数と試行範囲によって自動的に計算されます。

対称回数N=10、試行回数を±80°とすると、対称角度間隔は360°/10=36°となります。片側範囲での試行回数は80/36=2回余り8、すなわち2回(36°と72°でそれぞれ試行)となり、合計試行回数は1+2*2=5回(-72°、-36°、0°、36°、72°)となります。